Snowflake のデータリネージツールで、システム内でのデータの移動と変換の追跡ができるようになります。また Snowflake の自動化された列レベルの追跡や Snowsight での可視化ツール、クエリ可能なシステムビューにより、データガバナンスやコンプライアンス、分析がシンプルになります。
そこで、本記事では以下を押さえていきます:
- 重要な理由:監査のスピードアップ(60%アップ)、レポートの効率化(40%アップ)、データ品質の向上。
-
機能:
- 列レベルのリネージ:データの起源と変換を辿る。
- Snowsight の視覚化:データフローを理解するためのインタラクティブな図。
- システムビュー:カスタム分析要用のリネージデータへのプログラムによるアクセス。
- セットアップのヒント:正確で安全なリネージ追跡を確実に行うには、ロール、権限、クエリタグ、スケジュールされたタスクを使う。
- 高度なユースケース:dbt や Collibra などのツールと統合し、機械学習パイプラインでリネージ追跡を適用する。
Snowflake のツールで、コンプライアンスの確保や意思決定の改善は実現され、複雑なデータ環境は管理しやすくなります。
Snowflake のデータリネージ機能
Snowflake は、データリネージの効果的な管理のためにデザインされたツールによって追跡機能を拡張します。そしてこのツールは、3つの主要分野を中心に’構成されています:
列レベルのリネージと依存関係
Snowflake の SQL クエリ分析では、ソースからターゲットへのデータの流れと変換方法が自動特定されることにより、チームは以下ようなことが可能になります:
- データの起源の追跡
- 変更の影響の評価
- データ品質に関する懸念の対処
- コンプライアンス要件への対応
「Snowflake のデータリネージ機能により、ステークホルダーはインパクト分析、データ起源の追跡、複雑なデータランドスケープのナビゲーションしやすくなります。」
Snowsight でのデータリネージの視覚化
Snowsight で、視覚化ツールによって Snowflake データウェアハウスの自動リネージ追跡が強化されることから、データ関係がわかりやすくなります。
主な機能には以下が挙げられます:
機能 |
利点 |
インタラクティブな図 |
テーブルと列の接続を視覚的に探索する |
依存関係の追跡 |
上流と下流の影響を正確に特定する |
時間フィルタ |
特定の期間に焦点を当てる |
システムビューを使ったリネージデータのクエリ
Snowflake には、リネージデータにプログラムでアクセスするためのシステムビューがあるので、データ関係の詳細な分析やカスタムレポートができるようになります。便利なシステムビューをには次のようなものがあります:
ACCOUNT_USAGE.ACCESS_HISTORY
ACCOUNT_USAGE.COPY_HISTORY
INFORMATION_SCHEMA.OBJECT_DEPENDENCIES
例えば、データエンジニアは次のようなクエリを使ってリネージの関係を分析することができます:
SELECT referencing_object_name, query_text
FROM OBJECT_DEPENDENCIES
JOIN ACCESS_HISTORY ON object_name
WHERE referenced_object = 'SOURCE_TABLE'
このようなツールで、データチームは複雑なデータ環境の効率的な管理に必要なインサイトを得られます。
Snowflake でのデータリネージの設定
Snowflake に内蔵されたリネージツールはデータの効率的な追跡ができますが、それには適切な設定が鍵となります。そこで、アクセスの管理、変換の監視、正確性の確保という3つの領域に焦点を当てましょう。
役割と権限の設定
安全で信頼性の高い監査のために、ACCOUNT_USAGE ビューに合わせてロールを設定します。例えば以下のようになります:
CREATE ROLE lineage_analyst;
GRANT USAGE ON SCHEMA ACCOUNT_USAGE TO ROLE lineage_analyst;
GRANT SELECT ON ALL VIEWS IN SCHEMA ACCOUNT_USAGE TO ROLE lineage_analyst;
列マスキング ポリシーを使って、リネージの透明性を保ちながら機密データを保護しましょう。
ETL/ELT プロセスにおけるリネージの追跡
SYSTEM$SET_QUERY_TAG を使って、ETL 操作にタグを付け、変換をデータソースに接続します。ここでは、さまざまなステージでどのようにリネージ追跡を適用できるかを見てみましょう:
処理の段階 |
追跡方法 |
目的 |
データ取り込み |
ストリームとタスク |
ソースからターゲットへのデータのマッピング |
変換 |
クエリタグ |
特定の ETL 操作の追跡 |
読み込み |
パイプライン追跡 |
データフローと変更の監視 |
スケジュールされたタスクを使ってリネージを自動更新にすることもできます:
CREATE TASK update_lineage_metadata
WAREHOUSE = compute_wh
SCHEDULE = '60 MINUTE'
AS
CALL update_lineage_proc();
リネージの正確さを維持する
Snowflake のバージョニングを活用してスキーマの変更の追跡や、リネージの定期的な検証を行いましょう。複雑な変換については、メタデータテーブルに詳細を記録して、ロジックを明確にドキュメント化しましょう。定期的な監査を行うことで、環境の進化に合わせてリネージデータの一貫性と信頼性が保たれます。
Snowflake のデータリネージ の高度なテクニック
より複雑なセットアップのために、以下のような高度な戦略で Snowflake に内蔵されたリネージ機能を拡張することができます:
外部リネージツールの使用
Snowflake に元から備わっているリネージ機能は強力ですが、特に複雑な環境では、サードパーティのツールによって機能を追加することができます。例えば、Collibra の データリネージツールには、プラットフォーム間の詳細な可視性があり、Snowflake と組み合わせると、ソースシステムから変換を経て BI(ビジネスインテリジェンス)ツールへのデータフローがマッピングされます。
「Snowflake の高度なデータリネージは、データ移動の追跡だけではなく、組織全体の信頼やコンプライアンス、意思決定を強化する総合的なデータストーリーの作成になります。」
ツールのカテゴリー |
統合の主なメリット |
データカタログ |
プラットフォーム間の可視性 |
ETL ツール |
ワークフローの自動追跡 |
ガバナンスプラットフォーム |
監査機能の向上 |
リネージ追跡の自動化
自動化により、手動タスクが削減されて複雑なデータパイプラインに対応できるため、リネージ追跡のレベルが上がります。その顕著な例として、変換プロセス中にリネージの詳細の自動生成や更新が行われる、dbt と Snowflake との統合が挙げられます。
自動追跡を使っている組織では、コンプライアンスのレポート作成がより速くなったり、データの発見がしやすくなるなどの報告がよくあることから、業務の拡張に不可欠な要素となっています。
機械学習パイプラインでのリネージ
機械学習ワークフローは、その反復的かつ実験的な性質から、独自の課題が発生します。例えば Python 向けの Snowpark は、Snowflake 内で直接機能エンジニアリングとモデルトレーニングを有効にすることでこの問題に対処することから、機械学習のライフサイクルの全段階で明確なリネージが保証されます。
機械学習リネージ追跡の主な手順は以下のようになります:
- 機能エンジニアリング:バージョン管理を備えた Snowpark を使って変更を追跡する。
- モデルトレーニング:MLflow などのツールを活用して実験をドキュメント化する。
- デプロイ:Snowflake のタイム トラベル機能を使ってデータセットのバージョンを管理する。
このようなツールと機能により、Snowflake は生データからモデルのデプロイまでのトレーサビリティを確保し、MLワークフローの再現性とコンプライアンスに対応します。
Snowflake のデータリネージの課題への対応
Snowflake でのデータリネージの管理には、独自の課題が伴います。ここでは、最も一般的な問題への組織の効果的な対策を見ていきましょう。
履歴データの管理
階層型のストレージシステムで、過去のリネージデータを効率的に管理することができます。最近のデータは Snowflake の Standard ストレージに保管し、古いデータは Time Travel または外部ソリューションを使ってアーカイブしましょう。
保存期間 |
保存法 |
コストの影響 |
0-90 日 |
Standard |
- |
91-365 日 |
外部テーブル |
40% ダウン |
365日〜 |
アーカイブ |
70% ダウン |
この戦略は、最大90日間の履歴データを自動的に保持する Snowflake のタイムトラベル機能と相性が良いです。
スキーマ変更の処理
スキーマの変更は、きちんと管理されなければ、リネージ追跡が中断してしまう可能性があります。例えばある金融サービス企業は、スキーマの変更が発生すればリネージメタデータが自動更新されるようにすることで、この問題に対処しました。そしてこれにより、手作業によるエラーが75%下がりました。
Snowflake の ALTER SESSION SET CHANGE_TRACKING = TRUE を使って、スキーマの変更を自動追跡することができます。更新を行う前に、データリネージの正確さを維持するのに影響分析を実行しましょう。
パフォーマンスと詳細のバランス
リネージデータが大きくなるにつれ、パフォーマンスと詳細の両方を維持するのが大変になるかもしれません。これに対処するには、マテリアライズドビューや時間ベースのパーティショニング、クエリキャッシングなどの戦略を用いて、リネージクエリを最適化しましょう。また、ACCESS_HISTORY などの Snowflake システムビューを活用することで、クエリの効率が上がります。
以下は、主なパフォーマンスのヒントです:
- マテリアライズドビュー:頻繁に使われるリネージクエリを事前に計算する。
- パーティショニング:より速やかなアクセスに向けて、リネージデータを時間間隔で整理する。
- キャッシュ:繰り返しクエリに Snowflake に内蔵されたキャッシュを活用する。
このような方法で、リネージの追跡を詳細かつ効率的に維持することができます。
まとめ:Snowflake による効果的なデータリネージ
Snowflake がデータ系統で傑出している理由
Snowflake で、自動化された機能によりリネージ追跡がシンプルになり、全体的なパフォーマンスが上がります。そして際立った利点の1つに、旧システムと比べて管理オーバーヘッドが60%削減されるという点があります。
例えば、ある小売企業では、Snowflake のリネージツールを使うことで、データチームの生産性が30%上がり、データ関連のインサイトに必要な時間が半分に短縮されました。
機能 |
影響 |
結果 |
自動追跡 |
管理オーバーヘッドが60%削減 |
手作業の負担軽減 |
列レベルのインサイト |
45% 早い問題解決 |
より的確なトラブルシューティング |
リアルタイム更新 |
監査時間が40%短縮 |
コンプライアンスプロセスの改善 |
戦略的使用 |
コンプライアンス対応が60%向上 |
データインシデントが40%減少 |
データチームが次に取るべきステップ
データ共有の成果の最大化には、データチームは、前述のように Collibra などのエンタープライズデータカタログの統合に重点を置くべきです。ちなみに、最新のデータニーズに対応するためにロールベースのアクセスと自動タグ付けを導入した企業では、規制当局への報告にかかる時間が35%減少したと報告されています。
さらに、ETL 追跡手法を採りいれたチームでは、データディスカバリの効率が50%上がっています。また、Snowsight の視覚化と自動システム ビュー追跡を組み合わせることで、リネージワークフローはさらに効率化されます。