今日のデータ産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)は、世界中でのデータの生成と消費の劇的な増加によるものであり、企業が継続的な成長とデータの変化に対応するには、データを資産として優先的に扱うしかありません。

今日、企業はビジネスデータの可能性を認識し始め、データを優先し、意思決定の原動力としてデータを活用する文化を育てることに取り組んでいますが、データを第一に考えるだけでは不十分です。データの量が増えれば増えるほど、そのセキュリティをめぐる脅威も増すのです。

本記事では、データセキュリティの役割や企業のデータエコシステム保護のためのセキュリティのベストプラクティスについて詳しくお話します。

目次

  • 最新のデータエコシステムとは
  • データセキュリティとは何か、重要な理由
  • データエコシステムにおけるデータセキュリティの懸念事項
  • データ優先型のエコシステムでのデータセキュリティの確保
  • データ・セキュリティの未来とそれに向けての備え

最新のデータエコシステムとは

データエコシステムとは、データのシステムまたはコレクション、その環境、および様々なビジネスプロセスやツール間のインタラクションのことです。データ環境には、インフラ、クラウドサービスプロバイダ、プログラミング言語、アプリケーション、分析ツール、およびデータのライフサイクルにおいてデータとインタラクションするその他のエンティティが含まれます。

データインタラクションとは、データの収集、共有、保存、分析など、環境によってデータに行われるアクションのことです。データは時間とともに進化するため、環境は変化を余儀なくされ、変化するビジネス要件に適応する方法を見つけなければいけません。

最新のデータエコシステムに関わる主体には、以下のようなものがあります:

  • データ:データはそのエコシステムの中心であり、すべてのプロセスはデータを中心に回ります。
  • データソース:組織は、さまざまなデータソースからデータを収集し、データソースは組織内のものであったり、外部のサードパーティソースであったりします。
  • データレイク: 組織のすべてのプロセスにおいてデータを最優先するため、組織にはデータレイクやレポジトリと呼ばれる中央データ保管機関があり、さまざまな種類のデータが収集・保管されています。ここでは、ビジネスで使用するためにデータセットが洗浄され、構造化されます。
  • データパイプライン:データパイプラインは、組織の全チームをデータレイクに接続して各チームが特定のユースケースに基づいてデータを引き出すことができる、データ移動エンティティです。
  • ステークホルダー:ステークホルダーとは、組織のデータとそのインサイトを利用するあらゆる主体を指します。レポートや分析のために変換されたデータを利用するデータサイエンティストやアナリストだったり、APIを通じて企業データを利用するビジネス・アプリケーションもステークホルダーとなります。

最新のデータエコシステムは、組織がデータの活用と運用に使う特定の戦略によって、組織独自のものとなっており、組織のデータアーキテクチャを再構築します。データを民主化し、ビジネス上の意思決定に活用するデータ文化を推進するために、データを組織の中心に据えており、組織は、データエコシステムによって、運用の強化とビジネス成果の最適化という恩恵を受けることができるのです。

データセキュリティとは何か、重要な理由 

クラウドコンピューティング、機械学習、AI、ビッグデータなどの最新テクノロジーは、インフラの要件とコストを削減することでデータエコシステムの利用を強化してきた一方で、データはデータ漏洩や脆弱性にさらされることが多くなっています。さらに、クラウド上のデータは、オンプレミスのデータよりも多くの脅威にさらされています。

テクノロジーの進化は、残念ながら、高度なマルウェアの脅威を増大させています。データの盗難や攻撃が増加する中、ダメージコントロールだけがセキュリティ戦略であってはならないのです。機密データを失ってしまっては、もう救いようがありません。すべての現代企業にとって今必要なのは、脅威の予測や予防する戦略の採用、さらに潜在的なデータ・セキュリティ・リスクの軽減なのです。

データセキュリティは、組織のデータ資産を不正アクセス、盗難、攻撃、損失などから守ります。組織のハードウェアの物理的保護からソフトウェアエンティティの論理的保護まで、データ保護はデータエコシステム全体を包含し、あらゆる段階でデータを保護します。組織のデータポリシーや規制も、これに含まれ、そのポリシーは基本的に、医療、金融、IoT機器用データ、eコマースシステムの顧客データなど、個人を特定できる情報(PII)のような丁重に扱うべき個人データの使用に適用されます。

効果的なデータセキュリティ戦略は、組織の機密データを脅威や違反から守ることができます。データセキュリティは、組織の重要な情報とその侵入口を明確に把握し、攻撃や違反が発生したときにそれを阻止することができ、データのライフサイクルを通じて、企業のポリシーに従ったデータの整合性と信頼性も確保します。

データエコシステムにおけるデータセキュリティの懸念事項

デジタルでつながった今日の世の中では、データ交換、共有、連携によって、組織は多くの多様なデータソースを利用できるようになりました。また、データ共有は、組織内および組織間の一般的な相互運用性プラクティスとなり、同じデータを複数の用途に広めることができるようになりました。このような運用は、効果的なデータ管理のために組織のポリシーによって管理されるべきです。

データ共有で、組織は多くのセキュリティリスクや規制リスクにさらされます。それは、自身のデータを他の組織の手に委ねるということであり、このような行為には、常にデータの誤用や盗難のリスクが伴います。そうすると、リアルタイムのデータ変更を取り入れることで、データを共有しながらデータの完全性を維持するという課題が増えました。

組織が正確なインサイトを得るには、最新のデータを扱う必要があります。しかも、組織ごとに異なるデータガバナンスポリシーにより、データの共有が規制により禁止されている場合があります。

データセキュリティのツールや技術が利用できるようになっても、組織は依然として次のようなセキュリティの問題と戦っています:

  • 人的ミスの可能性の増加
  • 重要なデータへの不正なアクセス
  • データの誤用や複製のリスク
  • データ損失のリスク
  • サイバー攻撃に対する潜在的な脆弱性
  • データコントロールとガバナンスの問題
  • データコンプライアンスの問題
  • 短絡的なセキュリティ戦略は、長期的に失敗し、組織の成長に合わせて拡張できない

セキュリティ問題が深刻化している背景には、以下のような理由があります:

  • 機密データがどこにあってどのように組織内を流れているかなどの、組織のデータモデルの知識不足
  • アクセスコントロールの問題、または不正なユーザーによるデータアクセス
  • リスクを伴う可能性のあるデータ転送の監視不足
  • プライバシー侵害時のアラート通知の遅延
  • ポリシーの実施と社内標準の遵守の欠如

データ優先型のエコシステムでのデータセキュリティの確保

組織にデータ環境保護のための効果的なセキュリティ戦略が欠けていたら、あらゆる技術やツールは何の役にも立ちません。安全なデータ環境の構築には、組織はワークフロー全体を通じてデータ保護の確保のために、あらゆるレベルで有意義な取り組みを行う必要があります。以下は、組織のデータセキュリティを最適化したい組織のための手順と、データセキュリティのベストプラクティスの一部です。

人的ミスの認識

データ・プラットフォームを保護するためのツールや戦略を練る一方で、組織は最も弱い部分である「人」を見落としがちですが、従業員のほんのわずかなミスでも、ビジネス・データが莫大な損害を受け、復旧に多大な費用がかかる可能性があるのです。

どの組織にもデータ保護はあります。確実なデータ保護には、セキュリティ・プラットフォームを活用し、コンプライアンス・ポリシーについて従業員を教育するといいでしょう。通常、従業員は、組織がデータ保護のために何をしているかは知っていても、個々のセキュリティの役割については知らないものです。

スタッフのトレーニングは、組織のセキュリティ対策の重要な一部であるべきであり、データ・セキュリティに関する会議やセミナーを通じて、適切なセキュリティ行動についての教育が必要です。全従業員が守るべきセキュリティ対策は以下の通りです:

  • 強力なパスワードの使用及びあらゆるプラットフォームでのパスワードの共有の回避
  • 機密データの扱い方の把握
  • 悪意のある攻撃の認識及びタイムリーな対処
  • 個人とオフィスのシステムの不正なアクセスからの保護
  • 重要な情報を配布する際の、暗号化プロトコルの使用

人的ファイアウォールというセキュリティ層の追加は、セキュリティ侵害に対する組織の闘いにおいて大きな役割を果たします。

侵入・攻撃シミュレーション

セキュリティ・プラットフォームは、組織のセキュリティ対策に不可欠です。このプラットフォームの有効性の確保には、攻撃に対する強度とセキュリティコントロールの遵守をテストすることが重要です。
BAS(侵入・攻撃シミュレーション)は、組織のセキュリティ環境の脆弱性を認識するためのセキュリティテスト手法の一つです。潜在的な攻撃経路をたどるために攻撃者の役割を想定し、システムへの攻撃をシミュレートしてその安全性をテストします。

この戦略は、BASが自動化された継続的なテスト手法であり、ノンストップで機能するため効果的です。BASで、組織のセキュリティ環境が明確に可視化され、組織の最も重要なデータや資産を標的とした攻撃が自動的にシミュレーションされて、セキュリティ上の弱点に対する優先順位の高い解決策がもたらされます。このようにして、組織は最も弱い部分が強化され、安全なデータ環境を維持することができるのです。

セキュリティベンダーの統合

セキュリティ・ツールを探す場合、企業は通常、「ベンダー統合」か「ベスト・オブ・ブリード」という2つのアプローチのどちらかを取ります。ベスト・オブ・ブリード戦略をとる際の問題点は、1つのツールですべてをまかなうことができない点ですが、複数のツールを導入すると、組織は多くのベンダーに縛られ、セキュリティ・プロセスと管理が複雑になります。

でもこれはセキュリティベンダーの統合で簡単に解決できます。

セキュリティベンダーの統合は、複数のセキュリティ技術を統合し、その複合的なメリットを低コストで得るための戦略です。統合の背景にある考え方は、セキュリティベンダーの数を減らしながら、最大のリスクカバーを得ることであり、あるテクノロジーが残したセキュリティのギャップを別のテクノロジーがカバーすることで、サイバー脅威に対する組織の強度を高める高性能なセキュリティ運用が実現されるのです。

サイバーセキュリティ・メッシュ

データセキュリティソリューションは、オンプレミスのインフラなどの内部や、クラウドや外部設置サーバーなどの外部にあるさまざまな組織資産をカバーします。このような資産は、単独ではセキュリティポリシーの遵守を保証することができますが、資産間でデータがやり取りされる場合、セキュリティ管理の問題が発生します。

そこで、サイバーセキュリティ・メッシュが重要な役割を果たします。サイバーセキュリティ・メッシュは、組織のセキュリティ構造を統合し、組織の全資産を統一的に保護する最新のセキュリティ・アーキテクチャです。このセキュリティへのアプローチは、セキュリティポリシーの一貫性を確保することで、分散した資産の保護をシンプルにすることができます。
 

サイバーセキュリティ・メッシュは、拡張性と柔軟性に優れたセキュリティツールのネットワークを作り、組織のセキュリティ環境を全体で把握できるようにします。全体像を把握することは、セキュリティ攻撃をリアルタイムで捕捉し、データ侵害をタイムリーに阻止する上で極めて重要な役割を果たします。 

AIを駆使したサイバーセキュリティ

AI(人工知能)は、日々増え続ける大量のデータを計算する能力で、多くの産業を救ってきました。サイバーセキュリティも同様で、AIセキュリティソリューションからの恩恵を受けることができる膨大な量のデータのセキュリティを扱っています。

AIは、悪意のある攻撃に対するセキュリティ対策の強化をサポートします。サイバーセキュリティツールは、機械学習アルゴリズムを活用して、過去のデータから学習して将来の攻撃を防止する、自己改善型のセキュリティソリューションを構築することができます。また、このようなアルゴリズムにより、潜在的なセキュリティ脅威がどこにどのように存在するかを予測することができます。

セキュリティ対策を自動化することで、脅威や攻撃に対して、手作業よりも速く効率的に対応することができます。データの増加に伴い、AIを駆使したセキュリティ対策はスケールアップして改善され、セキュリティ環境の長所と短所を自動的かつ正確に把握することができます。

AIを駆使したセキュリティアプローチで一番いいのは、同じAIテクノロジーを使ってサイバー攻撃してくる人達からもたらされる可能性のある最新のリスクと脅威を常に把握することができる点です。

データセキュリティの未来とそれに向けた備え

テクノロジー・エコシステムの最新の進歩が、高度なサイバーセキュリティ攻撃の舞台を整えていることは、驚くことではありません。サイバーセキュリティ業界は、その攻撃に対抗するために、同じように高度な技術の活用が求められます。ある程度の基本的なセキュリティ対策は変わりませんが、今後ますます脆弱性が増すデータ環境を保護するために、新たなセキュリティソリューションも生まれてくるでしょう。

そのような未来に備えるための最善のアプローチは、サイバー攻撃の最新トレンドだけでなく、最新のセキュリティベストプラクティスについて、組織を常に最新の状態に保ち、教育することです。そして潜在的なリスクの一歩先を行くには、AIを使った未来の攻撃予測がセキュリティ・アプローチに不可欠なはずです。

最後に、過去の失敗から学び、セキュリティ上の弱点を改善し、サイバーセキュリティ・アーキテクチャの貫通可能なギャップを埋めることを忘れないようにしましょう。

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