IoT(モノのインターネット)機器の導入が急速に進んでいますが、企業が IoT を導入することで得られるものを見れば、その理由は簡単にわかります。

IoT は、主要なビジネス プロセスを監視または自動化することによって組織の業務効率を高め、メンテナンス、製造サプライチェーンはすべて、IoT によって革命が起きています。また、IoT 機器から生成される豊富なデータで、BI(ビジネスインテリジェンス)とデータ分析は強化され、それが顧客体験のより良い理解につながります。

こうした理由などから、IoT に投資する企業は競争上の優位性を獲得していますが、これは IoT デバイスのデータが適切に管理された場合しか意味がありません。そしてそれには、強固なデータ統合の実践が必要ですが、IoT は成長分野であるため、その道のりには障害もいくつかあります。

IoT のデータ統合について知っておくべき5点:

  • IoT(モノのインターネット)はビジネスのあり方を変え、それによって新たな効率化や多くのデータがもたらされる。
  • IoT デバイスから生成されるデータには、事業運営や顧客行動に関する重要なインサイトが含まれている。
  • しかし、 IoT データを全て集めるには、障害や課題に直面する可能性がある。
  • IoT データの収集と分析には、強固なデータ統合戦略が必要である。
  • 戦略を構築する際、最新の統合プラットフォームの使用など、IoT のデータ統合の課題を克服する方法がある。

そこで本記事では、企業が IoTの データ統合で直面する課題と、現実的なソリューションについて見ていきます。

目次

IoT とは

IoT とは、接続されたデバイスがデータを取得し、それをネットワーク経由で転送するシステムのことで、すべて人間の介在なしに行われます。

画像出典:https://securityboulevard.com/2021/11/integrating-iot-devices-and-erp-software/

「モノ」とは、IoT デバイスの目的別の性質を指し、IoT のデータは、機器に取り付けられたセンサーやカメラ、組み込みシステム、計器、体重計、その他あらゆる種類のスマート・オブジェクトから得られます。

企業は、 IoT を使って業務に関するより多くのデータを集め、そのデータ収集によって、効率性、顧客の行動や期待、意思決定プロセスに対するインサイトが深まります。また、IoT デバイスは、ビジネス機能の自動化にもますます使用されるようになっています。

データ統合が IoT で重要な理由

企業が IoT のプロジェクトから最大の価値を得るためには、データ統合が必要です。今日、IoTソリューションからは、以前であれば集めることが現実的でなかった(あるいは不可能であった)豊富なデータを入手でき、そのデータは、企業が一元化して分析できる場合にのみ有用です。

また、IoT のデータ統合で、組織のデータ全体の質も上がります。統合がなければ、企業には傾向や潜在的な問題を特定する能力がなくなります。統合は、ビッグデータ環境における「信頼できる唯一の情報源(Single source of truth)」を確立するために必要であり、統合がなければ、データはサイロの中で失われ、その場所を知っている人だけしか利用できなくなる危険性があります。

組織の情報がすべて一元化されて豊富なデータ分析の対象となれば、企業のリーダーは業務の健全性と効率性の全体像を把握することができ、その情報がより透明化されるにつれて、リーダーシップはボトルネックや非効率を特定できるようになります。

IoT のデータ統合プラットフォームで、企業は企業プロセスを改善し、データ中心の環境を育成することができ、確かなデータ分析で武装した企業のリーダーは、自社の現状と方向性をよりよく把握することができるのです。

IoT のデータ統合のユースケース

企業は IoT デバイスを導入することで、幅広いビジネスプロセスを近代化することができますが、よくあるユースケースとしては、以下のようなものがあります:

予知保全

メンテナンススタッフは、IoT センサーとカメラを使用することで重要な業務用機器の状態を把握することができます。IoT システムが機器の稼働能力を検出することができ、IoTは 最終修理日や予防保守のタイムラインなどのデータと組み合わせることで、予知保全分析を行います。

また、適切なアラートメッセージは、ここでのデータ統合にかかっています。つまり、アラートメッセージがどのようにメンテナンススタッフに配信されるかということです。

サプライチェーン追跡

IoT システムは現代のサプライチェーンで大きな役割を果たしており、出荷中の資産の位置追跡や、輸送コンテナの温度追跡、追跡の最新情報の提供に利用されます。

また、IoT はスマートな在庫管理にも利用でき、資産のチェックアウトとチェックインは、適切な IoT システムによって自動化される場合があります。

そしてスマート・サプライチェーンのデバイスによって生成されたこのデータは、ERP(統合基幹業務システム)や在庫管理システムに統合されたときに最も有用です。

遠隔でのヘルスケアモニタリング

一貫したモニタリングが必要な疾患がある患者は、IoT デバイスの恩恵を受けることができます。例えばスマートウォッチやその他のウェアラブルデバイスは、心拍数、血圧、その他のバイタルを追跡し、医師やその他のプロバイダーに報告することができます。

そしてこのような場合、遠隔地のデータを電子カルテのシステムや他のヘルスケアアプリに取り込むためのデータ統合戦略が必要となります。

セキュリティアラート

IoT カメラとセンサーが連携し、24時間体制で物理的なセキュリティを監視します。動体検知を AI(人工知能)の ML(機械学習)と組み合わせることで、セキュリティ侵害の可能性をリアルタイムでスタッフに警告することができますが、それは、優れたデータ統合戦略が導入され、アラートが適切なスタッフに配信されている場合に限られます。

IoT の一般的な課題

ビジネスの種類にかかわらず、大体の組織は IoT システムを導入する際に、一般的に以下のような課題に直面します。

主な課題は、主に多数の IoT デバイスによって生成される膨大な量のデータです。大抵の IoT プロジェクトは、データを共有するための独自の API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)が備わった、さまざまなデバイスを特徴としており、ネットワーク上を流れる絶え間ない情報の流れを集めてそれを全て理解するのは大変です。

例えば製造現場を想像してみてください。製造現場には何十個もの IoT センサーが設置され、製造工程のあらゆるステップでデータを取得している可能性があります。それぞれのセンサーは、他のセンサーと一致しないデータセットを生成するかもしれませんし、似たようなデータを生成していても、違うラベルが付いているかもしれません。データの統一と統合戦略がなければ、この情報はすべてサイロの中に置かれることになるのです。

企業はまた、IoT の実装において一般的なスケーラビリティの問題に直面するでしょう。大量のデータには、ネットワーク・トラフィックとデータベース利用率の増加が伴い、ビジネスデータの流れに入り込んでいる豊富な新情報を取り込むには、より多くの帯域幅とストレージ容量が必要になるかもしれません。

例えば医療機関が挙げられます。今日の高度な医療機器は、かつてないほど貴重なデータを生み出すことができ、医療提供者がこのようなデータの流入に備えていなければ、患者の電子記録に統合されることはないかもしれません。

IoT テクノロジーは複数のベンダーから提供されているため、互換性の問題が予想されます。規格や通信プロトコルの違いでデータの一元化が複雑になり、データクレンジングのプロセスがなければ、情報の品質と価値が疑われる可能性があります。

従来のデータ統合はバッチ処理を中心に行われる傾向がありました。インテリジェント・センサーのような IoT デバイスだと、データは一定のストリームで送信され、旧式の統合システムでは、レイテンシー耐性が低いことがよくあります。なので、従来のバッチ処理は、現代のデータ統合において急速に障害になりつつあるというのが専門家の見解です。

エンドポイントの数が増えると、事態はさらに複雑になります。従来の統合プラットフォームは、一定数のエンドポイントにしか対応していない可能性があり、同時に、多くの新しい IoT デバイスには、従来の統合プラットフォームにはなじみのない通信プロトコルが使われています。

IoT のデータ統合の課題を克服するソリューション

IoT プラットフォームを採用するメリットは数多くあります。なので、データ統合に関連するハードルは存在しますが、それを理由に諦めるべきではありません。IoT 革命がもたらす業務効率と強固なデータ分析から得られるものはあまりにも多いですからね。

企業には、IoT のデータ統合の課題を克服するのに、以下ような方法があります:

最新のデータ統合戦略を計画する

データ統合の成功は、強固な戦略を持つことから始まります。まずは自社のエコシステムにおける統合要件を整理することから始めましょう。

現在持っているデータソースは何ですか?どのシステムや機器からデータを集めたいですか?自社のデータパイプラインにおけるタッチポイントを全てマッピングし、それを全部一元化された場所に統合する方法の計画に取り掛かりましょう。何が必要かをきちんと理解すれば、戦略を実現するのに必要なリソースを計画することができます。

データ品質基準を設定する

データ管理の重要な要素は、品質基準の確定です。なので文書化されたデータ品質の要件を提供できるチームを編成しましょう。そしてその要件には、全体的な戦略に統合しやすいデータ形式、構造、提供方法が含まれます。

レガシー(旧式)システムを置き換える

旧式のシステムは、おそらく IoT 導入の最大の障害となります。バッチ処理などの旧式の統合プラットフォームや手法は、IoT のデータ整合性やセキュリティ要件に耐えられないでしょう。

最終的な目標は、企業が DX (デジタルトランスフォーメーション)を遂げることであるべきです。あらゆる重要なビジネスプロセスから重要な情報を収集できる、データ中心の企業になりましょう。

システムを置き換えるには投資が必要ですが、旧式のハードウェアやソフトウェアにしがみつくのもコストがかかります、旧式のシステムを存続させるのには、多くの貴重な時間とリソースがかかりますからね。でもそのリソースは、企業の近代化に費やされた方がいいですよね。

リサーチのコミュニケーション・プロトコル

IoT デバイスがデータを共有してネットワーク上の他の IoT アプリケーションと通信する方法はいくつかあり、その際、1つの標準を選択するか、複数のプロトコルに対応する計画を立てる必要があります。

最終的に何を選ぶにしても、自社のデータ統合戦略や品質基準に沿ったものでないといけません。また、ネットワーク要件にも注意が必要です。これは、社内LAN、WAN、あるいはリモート接続用の VPN をアップグレードするという可能性があります。

さらに考慮すべき点は、IoT デバイスがデータ共有のために使うデータ形式であり、メールや SMS アラートを直接送信できるものや、SQL データベースと通信できるものもあれば、単にログサーバーに書き込むだけのものもあります。繰り返しになりますが、選択するデバイスとそれが生成する出力(アウトプット)が、必ず自社の戦略とデータ品質要件に合致しているようにしましょう。

API について

デバイスの API を経由するのは、IoT システムからデータを出し入れする最も一般的な方法です。技術的な知識やコーディングのスキルは必要ですが、最新のAPI を使うのはとても簡単です。API でのデータの送受信に必要なのは、シンプルなリクエストだけであることが多いですからね。

データの品質標準が整っていれば、API 経由でデータを受け取って、それをリレーショナル・データベースや統合プラットフォームのデータウェアハウスに挿入するのは非常に簡単なことが多く、他の IoT デバイスもお互いの API にアクセスできるかもしれません。それは API データを扱うのに必要なものを確実に把握するために、前もって調査しておきましょう。

最新のデータ統合プラットフォームを使う

最新のデータ統合のプラットフォームは、多くの IoT 統合の課題を解決することができ、最新の IPaaS(サービスとしてのインターネットプラットフォーム)ソリューションだと、ハードウェアへの投資や長い導入サイクルを必要とせず、すぐに稼働させることができます。

データの仮想化エッジコンピューティングなど、最新のデータ統合手法に対応するソリューションを探しましょう。このようなトレンドは、大量のデータ処理が必要な大企業から生まれましたが、今日では、中小規模の組織であっても、IoT を導入していれば、企業レベルのデータ量を持つことができる可能性があります。

また、大規模な IoT 実装のコンポーネントの多くは、最新のデータ統合ソリューションとネイティブに連携し、それによって、IT チームやその他の社内リソースの負担が大幅に軽減されます。そうすると、品質要件を指定して、IoT データの収集を一元化できます。

Integrate.io は IoT のデータ統合の課題解決のお手伝いをします。

IoT は未来ではなく、明らかに今ここにあります。あらゆる規模の組織が IoT を採用することで、業務効率とより優れたデータ洞察力を得えられますが、そのメリットを確実に享受するには、強固なデータ統合戦略が必要です。数ある IoT 導入の課題のどれに直面しても、強力なデータ統合プラットフォームが成功への第一歩となるのです。

今こそ IoT の導入を検討すべき時です。競合他社はすでにソリューションを導入している可能性が高く、ビジネスプロセスの自動化や豊富なデータ分析のメリットを享受しているかもしれません。

ただ、それを始めるには最新のデータ統合プラットフォームが必要です。Integrate.io は、リアルタイムデータ統合のための使いやすくて豊富な機能が備わったプラットフォームであり、当社の IPaaS 製品は、最新のデータ統合の課題に対処するためにゼロからデザインされています。

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