マーケティング部門であれ、運営部門であれ、「API」 や「 API 統合」についてよく耳にするのではないでしょうか。これらは近年、より多くの企業がDX(デジタル変革)のトレンドを取り入れる中で、IT部門の”流行語”となっています。とはいえ、あなたがデベロッパーじゃないとかIT部門で働いていなかったら、APIやAPI統合が何であるかについて明確なイメージを持っていないかもしれません。もしあなたがまだAPIの世界に慣れていないとしたら、まさに来たるべき場所にいらっしゃいました。このガイドでは、API統合の概念を一から包括的にご紹介します。

API統合の概要

API 統合は、複数のアプリケーションやサービスがそれぞれの API (アプリケーション・プログラミング・インターフェース) を通じて相互に通信できるようにするためのデータ接続です。この統合がなければ、大規模なアプリケーション(または大規模なITエコシステム)を構成するさまざまなアプリケーション、マイクロサービス、マイクロアプリ、SaaSプラットフォームは、通信や対話ができなくなります。これがAPI統合の一般的な概要ですが、もっと深く理解するには、基本的なことから始め、APIとREST APIについての学習が必要です。

APIとは

APIは、アプリケーションが互いにデータを交換するために使用する「定義」、「プロトコル」、および「コマンド」のセットです。各APIは、その背後に位置するアプリケーションやサービスのために、多くのサービス(またはエンドポイント)を公開し、他のアプリケーションは、このAPIエンドポイントを使って、コマンドを送信や通信してアプリケーションと対話することができます。APIには一般に、人間が読めるドキュメントも付属しており、それには、APIが公開するサービスを利用するために、デベロッパーのシステムがAPIに送信するコマンドやリクエストをどのようにコーディングすればいいかが書かれています。

APIの概念をもっとよく理解するために、「レストラン」が【アプリケーション・コンポーネント】であると想像してください。あなたのリクエストを受ける「ウェイター」は【API】で、何をどのようにリクエストできるかを教えてくれる「メニュー」が【APIドキュメント】になります。メニュー(APIドキュメント)を読んだあなたは、ウェイター(API)に何を頼めるか、つまり飲み物やハンバーガーなどを持ってきてくれるか、そしてどのようにリクエストを表現すればいいかがわかりますよね。でもレストラン(アプリケーション・コンポーネント)がどのように運営されているかを知る必要はありません。そして、どんなタイプのレストランでも、店内に入り、メニューをさっと見て、欲しいものを注文することができます。

同じように、デベロッパーはアプリケーション・コンポーネントがどのように動くのかを知る必要はなく、アプリケーションがどのような言語でプログラムされているのかさえ知る必要はありません。必要なのは、APIが公開するサービスと、そのサービスをどのようにリクエストするかだけであり、その知識があれば、デベロッパーは自分のシステムが他のシステムのAPIとの対話のために必要なコードをすぐに書くことができます。

つまるところ、あるAPIと別のAPIを対話させるためのコードが「API統合」であり、ここで重要なのは、”APIはUI(ユーザーインターフェース)ではない”ということです。人間がアプリケーションと対話するために使うのがUIであり、アプリケーションが他のアプリケーションと対話するために使うのがAPIになります。

REST APIとは

Salesforce、SAP Concur、Office 365など、最も広く使われているWebベースのサービスやクラウドベースのSaaSプラットフォームに関して言えば、これらのシステムは、他のアプリケーションやシステムと統合するためのREST APIを公開するのが一般的であり、特定の原則と制約に従ったAPIは、「REST(Representational State Transfer)」と呼ばれます。

近年、アプリケーションを統合する方法として、RESTが最も普及しており、全APIの約8割がREST APIです。REST APIは、SOAP(XML通信形式を使用する古い規格)に代わって最も人気のあるタイプのAPIとなり、SOAPよりも柔軟で習得しやすいのが特徴です。また、広く普及しているHTTPプロトコルで動作し、XMLの代わりにHTTP URLが使われます。

REST APIは、以下の4つの要素で構成されています:

  • WebベースのAPI対応アプリやサービス
  • リモートサーバー
  • APIに対して行われるリクエスト
  • リクエストに応答して返される関数やデータ

REST API を使う最も大きな利点の 1 つは、その相互運用性です。ソフトウェアがどのような言語で書かれ、どのようなプラットフォームで動作しているかは問題ではなく、REST APIは、使い慣れたHTTPコマンドを理解する2つのシステム間の標準的なインターフェースとして機能することができます。このように、REST APIで、シンプルで広く理解されているプロトコルを介して、多様なアプリケーション間のエンドツーエンドの通信が可能になります。

API統合をもっと詳しく

すでに述べたように、API統合によって、複数のアプリケーションがAPIを通じて互いに接続し、対話することができます。この形式のデータ統合を行うことで、2つ以上のアプリケーションが同じタスクで一緒に作業したり、より大きなアプリケーションアーキテクチャを形成するために統合したり、単にお互いのデータを同期させたりすることができます。

企業が API 統合をビジネスプロセスの一部にする最も一般的な方法の 1 つに、CRM システムとMA(マーケティング・オートメーション)システムの接続があります。例えば、ある企業は Zoho CRM のデータを Marketo のMAデータと統合したいと考えるかもしれません。 この場合、デベロッパーは、一方のシステムの対応するデータが変更されたときに、もう一方のシステムのデータを自動的に更新するような統合を確立することができ、両システムのデータは常に同期されます。

デベロッパーは、API 統合機能を使って、アプリケーション開発プロジェクトをスピード化することもできます。アプリケーションのすべてのサービスと機能をゼロからコーディングするのではなく、ユニークな部分のコーディングに集中し、アプリケーションに予め組み込まれた機能を統合する API 統合機能を使うことで、アプリケーションをより速く完成させることができます。これにより、デベロッパーはモジュール化されたマイクロサービスベースのアプリケーションを高速に構築することができるのです。

突き詰めると、API統合は、ITインフラやアプリケーションを開発する上で以下のようなメリットをもたらします:

  • 柔軟性:API の統合により、システムコンポーネント間の相互依存が最小限に抑えられ、それによって、ビジネスニーズの変化に応じたさまざまなサービスや機能の追加、アップグレード、削除をより迅速かつコスト効率よく行うことができ、開発サイクルの短縮につながる。
  • 高可用性システム:API ベースのシステムでは、異なるシステムコンポーネントを複製して冗長性の確保が容易であり、ネットワークサービスの障害がシステムの他の部分に連鎖するのを防ぐために、サーキットブレーカー戦略のような安全策を取ることも可能。このような利点により、デベロッパーはより耐障害性の高い、可用性の高いシステムの構築ができる
  • スケーラビリティと効率性の向上:マイクロサービスベースのAPI接続システムのスケーリングは、より簡単かつ低コストで行え、システムの1つまたは2つの部分に対する要求が増加しても、リソースを必要とする個々のコンポーネントに複製して流用するだけでできる。

API統合の構築法

デベロッパーがAPI統合を確立するのに使う手法はいくつかあり、主に、【API統合のハンドコーディング】、【APIコネクタツールの使用】、【API統合管理プラットフォームの使用】の3つがあります。ここでは、その3つの方法について簡単にご説明します。

ハンドコーディングによるAPI統合

以前は、デベロッパーはAPI統合をすべてゼロからコーディングする必要がありました。IT インフラにわたって 2 つの API を接続する場合でも、複数のデータソースを接続してより大きなシステムを構築する場合でも、デベロッパーはそのようなコンポーネント間の統合を手作業でコーディングする必要がありました。さらに複雑なことに、両方のコンポーネントのAPIがまだ存在しない場合も、デベロッパーはAPIを手作業でコーディングする必要がありました。

APIをハンドコーディングすることの問題点は、時間もコストも多くかかることです。また、APIを1つハンドコーディングする場合、API開発ツールを使う場合と比べて、API一つあたりのコストが大幅に高くなることがあります。API統合のハンドコーディングは、統合の複雑さにもよりあますが、最大で1万ドル以上のコストがかかることもあるのです。

APIコネクタツール

APIコネクターツールの使用は、API接続を確立するための最もシンプルな方法です。Zapierなどの使いやすいプラットフォームには、一般的なエンタープライズ・アプリケーション用の予め構築されたAPIコネクターのホストがあり、そのようなツールは、2つのアプリケーション間のワークフローの自動化に焦点を当てた「コードなし」、「ポイント&クリック」のインターフェイスを特徴としています。

APIコネクタツールの利点は、APIやAPI統合をハンドコーディングする必要がないことですが、複雑なワークフローを作成する機能を提供しないという欠点もあります。

さらに、より大きなマイクロサービスベースのアプリケーションの形成のためにAPI統合を構築するデベロッパーにとっても便利ではありません。

APIコネクターツールが役に立つのは以下の場合です:

  • ITインフラにまたがる基本的なワークフロー自動化の統合の設定が必要な時
  • 接続したいサービスのAPI統合機能がコネクタツールにあらかじめ組み込まれている時
  • ワークフローの自動化のニーズが複雑でない時
  • 必要なワークフローの自動化機能がAPIコネクターツールにある時

API統合管理のプラットフォーム

API統合管理プラットフォームで、デベロッパーは複雑なAPI統合を構築する際に、アプリケーションの作成に必要なハンドコーディングをすべて(または大部分)回避することができ、統合管理プラットフォームには、APIコネクタツールと同様に、予め構築されたAPI統合があります。さらに、API統合プラットフォームは、より複雑なAPI統合のためのより深い機能を提供することで、APIコネクタツールの能力を超えており、マイクロサービスベースのアプリ開発のユースケースにも対応しています。

以下のような時に、API統合管理プラットフォームが便利です:

  • ITインフラの中で、アプリ間の複雑なワークフローの開発が必要な時
  • マイクロサービスベースのアプリケーションを構築する際に、マイクロサービスのAPIと他のコンポーネントの統合が必要な時

ただ残念なことに、MuleSoftやIBM App Connectなど、最も広く使われているAPI管理プラットフォームには、重大な欠点があります。

まず、複雑で使いにくいフロントエンドを備えている点です。そのようなプラットフォームを使うために、多くの企業では、豊富なコーディングスキルと特別な資格を持つ経験豊富なデベロッパーチームが必要ですが、そのスキルの習得は時間を食います。  

次に、ライセンスとホスティングにコストがかかる点です。MuleSoftやIBM App Connectのようなプラットフォームは、ESBやETLサービスなど、API統合以外の幅広いサービスを提供していることから、当然コストは高いです。 こういった不利な点があるため、従来のプラットフォームは予算が豊富にあるエンタープライズにとって最適ですが、中小企業や予算が厳しい企業部門にとっては、通常は高価すぎます。そこで、予算が限られている企業へのお役立ち情報です。Integrate.ioのような新しいAPI統合管理プラットフォームが、強固で手頃な価格のAPI作成と統合への門を開けていますよ。

API連携における現在のトレンド

APIが情報システムの世界を席巻していると言っても過言ではないでしょう。今やAPIを中心に市場全体が形成され、IT企業はAPIの利用や展開に関する戦略を練っています。

ここでは、2023年のAPI統合の5大トレンドをご紹介します:

API統合の自動化

自動化によって、繰り返しの作業を避け、より重要な仕事に集中することができます。API統合の自動化が業界で話題になっているのは驚くことではなく、Techのリーダーたちは、API統合テスト、API公開、セキュリティ・チェックなどの機能の自動化を望んでいるところです。そのために、GitHubは最近、OpenAIと共同で開発した人工知能API統合ツール「GitHub CoPilot」を発表しました。このアプリはまだ開発サイクルの初期段階ですが、その存在は、APIの作成、統合、セキュリティチェックのすべてが自動化されるようになる日が来ることを指し示しています。

Open API統合の標準

REST API、SOAP、JSON、GraphQLはすべて、以前からあるWebサービスやAPI技術ですが、長年の使用とデベロッパーコミュニティの経験により、API統合のためのオープン標準をより強く推し進めるようになりました。ますます多くの企業が標準化団体に参加し、フィードバックを提供し、API統合のベストプラクティスとして知られるようになるものを形成しており、活発なグループやプロジェクトには、OAS(OpenAPI Specification)、GraphQL仕様、JSON スキーマ仕様などがあります。 

APIエコノミー

SalesForceのような成功したハイテク企業がAPIを収益化する方法を見つけたとき、「APIエコノミー」という話が始まりました。当初、それは単なる「APIやデータへのアクセスの販売」ということでしたが、そのような市場区分がまだ存在するとはいえ、APIエコノミーはより広い意味を持つようになりました。API を利用することで、世界中の顧客や他の企業とつながることができるため、API は E コマースの世界でも最前線で活躍するようになりましたし、 来年以降、オンライン商取引について議論する際には、APIや他のデジタル経済との統合方法についての話が目立ってくるることが予想されます。

デベロッパーに必要なのはAPI統合の経験

IT業界における採用動向を見ると、APIの経験がこれまで以上に重要視されていることが分かります。デベロッパー求人の新規投稿では、応募者に特定の専門知識を求めるものが圧倒的に多くなっており、コードサンプルは以前からデベロッパー求人の主流でしたが、今では採用担当者がPostmanでのスクリプトの提出を求めることも珍しくなくなりました。API統合の経験は、来年以降、市場で最も熱いスキルセットの1つになると思われ、このトレンドがすぐに衰えることはないと思われます。

業界特化型API統合

オープンなAPI標準の推進と同時に、業界特化型のAPI統合も急速に出てきており、最も顕著な例としては、オープンな銀行や、FHIR (Fast Healthcare Interoperability Resource:保健医療分野の相互運⽤性リソース) のようなヘルスケア標準があります。その他にも、サプライチェーンやロジスティクス、保険、製造業など、API統合の標準化に向けて準備中の他の市場とともに、このような市場が継続的に成長することが予想されます。

API統合管理における最近の進歩

API管理ソリューションは、APIのライフサイクル管理とAPI統合管理のみにフォーカスしているため、利用が広がっています。API管理を提供するクラウドベースのiPaaSソリューションは、APIの自動生成などの機能によって生産性を高め、それによって、新しいサービスや機能を数分でプロジェクトに統合することができるのです。

自分に合ったAPI統合プラットフォームを探す

これで、API統合と、デベロッパーがAPIを統合してアプリケーションを接続する方法について、しっかりと理解することができたと思います。これまで述べてきたように、API統合の用途はITインフラストラクチャやマイクロサービスベースのシステムで幅広く、さまざまなものがありますが、最も一般的なAPI統合の手法とその潜在的な長所と短所の理解も必要です。そして何よりも、 Integrate.ioのようなプラットフォームが、カスタムAPI統合をより速く、予算重視の組織でも実現できるようにしていることはお分かりいただけたと思います。

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