EC(eコマース)におけるELTについて知っておくべき5事項

  1. ETL(抽出、変換、格納)は、ECビジネスのデータ統合をサポートし、それによって顧客理解が深まる。
  2. 機械学習と組み合わせることで、ETLはマーケティングの個別化やその他のマーケティング施策に力を発揮する。
  3. ETLプロセスは、企業が保有するすべてのデータを整理・管理するためのデータウェアハウスと密接に関連している。
  4. ETLの利点には、データ品質、一貫性、法規制の遵守の向上などがある。
  5. Integrate.ioのようなプラットフォームは、従来のETLとリバースETL、そして非常に高速なCDC(変更データキャプチャ)プラットフォームを組み合わせてECビジネスの成長を促す。

ビジネス上の意思決定において、データ駆動型のアプローチを取ることに意味がないという人はまずいません。それなのに、紙の上では簡単に聞こえるかもしれませんが、実際それを実現するには膨大な戦略的プランニングが必要なことから、多くの企業がそれを実践していないのです。

データ駆動型の意思決定プロセスを実現する上で、最も重要なツールの 1 つが 「ETL」と呼ばれるものです。ETL の仕組みや、ECデータの成功に ETL が機能的に重要な理由についてあまり詳しくない場合は、ぜひこのまま読み進めてください。

目次

ETLとは

ETLとは、Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(格納)の頭文字をとったもので、ETLプロセスに含まれるステップのことです。最初のステップで、企業は様々なソースからデータを「抽出」または引っ張ってくることができます。そうしたら、スプレッドシートの列を並べ替えるなどしてデータを「変換」してデータウェアハウスなどの変換先で適切に処理できるようにし、そしてデータを「格納」します。

つまりETLプロセスは、データが保存または収集されている場所からデータを取得し、それを使うために準備し、そしてそれを可視化やレポートへの変換、マーケティングの個別化などの目的で使うツールに送り込むことによって、企業がデータをより有効活用できるようにするものです。

ETL プロセスはよく「データ統合」と呼ばれ、Integrate.io はその主要なソリューションの 1 つになります。Integrate.ioの強力な ETL および逆 ETL 機能によって、あらゆる部門でのより効果的かつ効率的なデータ活用が実現され、内蔵されたAPI により、エンジニアリングチームが接続作業に圧倒されないようします。

ETLの利点

データ統合への投資は、有意義なプロセスです。結局のところ、それによって自身のビジネスの競争力は研ぎ澄まされ、推測に頼らず実際の顧客行動に基づいた意思決定が確実にできるのです。

大局的な観点から、ETLの利点をまとめると次のようになります:

  • データ品質の向上:ETLプロセスによって、さまざまなソースからデータを取得して一元的なレポジトリに保存することによるデータの統合ができる。そうすることで、データが厳格なコンプライアンス基準に適合していることを確認することができる。
  • より一貫性のあるデータ: 重要なデータを統合することで、「顧客がサブスクリプションを一時停止した時期」や「サブスクリプションを贈った頻度」など、ビジネスは履歴コンテキストを提供できる情報をアーカイブおよび検索する機能を利用できるようになる。
  • より迅速なデータ消費:ETLプロセスによって手動でのデータ転送やソースへの問い合わせが不要になるため、24時間いつでもデータを活用できるようになり、BI(ビジネスインテリジェンス)構想の基礎が構築される。

このような3点を合わせると、ETL がECの成功に不可欠である理由が見えてきます。では、基本的なことはさておき、ETLによるECビジネスのサポート法や、データ統合ソリューションへの投資が必要な理由がわかる、より具体的なユースケースについてみていきましょう。

ECにおけるETLのユースケース

特にECの分野では、ETLにはビジネスの成長をサポートするための複数のユースケースがありますが、それはすべて ETL の主要機能であるデータウェアハウスを直接サポートすることから生じています。ETLで、データの収集、標準化、および様々なデータウェアハウスへの転送が可能になり、その結果、以下のようなことができるようになります。

まず、データが適切にフォーマットされ、データウェアハウス内で整理されていることで、企業は実質的にあらゆるユースケースで完全かつ正確なデータセットを利用することができるようになります。これにより、BI(ビジネスインテリジェンス)が可能となり、サポートチームのワークロードに関するデータを表示するリアルタイムダッシュボードや、ウェブサイトのアクティビティや顧客の行動に基づいてチャットサポートチームの時間を延長または変更すべきかどうかなど、その場で意思決定できるような分析を実践することができるようになります。

ETLでできるようになるもう一つの重要な活動は、裏側で機能するBIであり、「マーケティングデータの統合」として知られているものです。マーケティングデータの統合で、企業がCRM(ファーストパーティ)やSNS(サードパーティ)など、ファーストパーティとサードパーティの両方のデータソースから流入するすべての情報を理解し活用することができるようになります。

ETL によって企業の関連データがすべて適切なツールに移動されると、マーケティングデータの統合によって、マーケティングの個別化など、さまざまな活動を行うことができるようになります。顧客の行動とエンゲージメントに関する情報がリアルタイムで追加されることにより、企業は目にする広告やメールの自動変更や、摩擦軽減のためのメッセージ送信ができ、顧客は自分のニーズが直接対応されているように感じるのです。

マーケティングデータの統合と個別化に関しては、機械学習アルゴリズムが重要な役割を果たすことが多く、手動入力をすることなく、確実に速やかな変更が行われます。これにより、チームの手を煩わせる事なく、ストアのおすすめ商品やポップアップ オファーが顧客の関心に最も合うように変更されると思われます。

ご想像の通り、ETLのプロセスを掘り下げ、マーケティングデータの統合などを検討し始めると、その可能性はほぼ無限大になります。カスタマージャーニーを形成する多くの機会により、ETLは収益を作り出す際の重要なサポートとなるでしょう。業種を問わず、Integrate.io は ETL をビジネスに活用するための強力なプラットフォームをご用意しております。

ECにおけるETLの事例

BIとマーケティングデータ統合は、特に技術スタックの構築という長く複雑な作業が始まったばかりの企業にとって、極めて曖昧な言葉です。そこで、この技術を整理するために、ETLとリバースETLがどのようにECビジネスの運営を強化するのか、具体的な事例をいくつか掘り下げてみましょう。

顧客喪失の減少

広告予算の大小にかかわらず、キャンペーンによってアプリやウェブサイトに送られるトラフィックは、利益を生み出すのに非常に重要です。

もちろん、実際にお金を払ってくれる顧客になるのは、その中のごく一部です。その他は、少し見てみたけど何もカートに入れなかった人でしょう。実際にカートのページにたどり着くのはさらに少なく、そのうちのほんの何人かがチェックアウトのプロセスを完了するのです。

コンバージョンに至った顧客でも、決済の問題や配送の遅れなど、途中で問題を経験し、ブランドに対してネガティブな印象を持つ可能性があります。さらに、データ駆動型のインフラがなければ、ある顧客がチェックアウトに成功するまでに3回カード情報を再入力しなければならなかったことに気付かないかもしれません。つまり、誰かが時間をかけて注意を喚起するまで、その不満の解消や根本的な問題の解決ができないということなのです。

では、これらの経路や行動が目の前にあるとき、ETLやリバースETLのプロセスで、どのように顧客の獲得と維持ができるのでしょうか。実現できることとしては、以下のようなものがあります:

  • ウェルカムメールへの、新規ユーザーが摩擦を回避するためのヒントや情報の掲載
  • カートを放棄したユーザーのリストを生成し、閲覧した商品の値下がりアラートを送信
  • 注文した商品の到着が遅れたり、購入や決済の過程で問題が発生した場合の、お詫びの品の申し入れ
  • 最近見ていた商品が品切れになっていたユーザーに対する、その商品が再び注文できるようになったことをプッシュ通知する機能の作成
  • 以前購入した特定のブランドなどの過去の購買行動に基づいた、顧客ベースの特定のセグメントへのセールや製品の発売のターゲット化

このような例はすべて、EC界におけるETLとリバースETLの威力の”かじり”を示しているだけです。そこで、適切なテクノロジーを使って実装および自動化できるその他のプロセスについて、より深く掘り下げてみましょう。

カスタマーサポートのためのコンテキストの提供

Intercom やその他のカスタマーサポートツールなどのダウンストリームのアプリケーションで顧客の完全なビューを作成する場合、リバース ETLがプロセスの基本になります。リバースETLを使うと、ロイヤリティプログラムのステータスや過去の苦情などの重要な情報が同期され、サポート担当者は一目で顧客とのやりとりの状況を把握できるようになります。


カスタマーサポートのリクエストに対するこのようなコンテキストの提供は、解決までの時間短縮や、顧客が認知され、よくしてくれていると感じる印象を与えたり、サポートスタッフの顧客のニーズに合わせた意思決定に不可欠です。
例えば、顧客が不良品を返品したい場合、コンテキストは、顧客がすでに無料の交換品を受け取っていることを伝え、別の無料製品を送ることを約束するのではなく、元の製品の返金を提供することができます。

また、顧客がブランドのロイヤリティ・プログラムに参加しているかどうかなどのような、一見小さな情報でも、それによってサポート・エージェントはより良いサービスを迅速に提供できるようになるのです。例えば、大規模なセール期間中に電話が殺到した場合、この情報をもとに、サポート担当者が最初に対応すべき顧客に優先順位をつけることで、より高い継続率、さらには頻繁に購入した実績のある顧客に焦点を当てた高いコンバージョン率を実現することができます。

その他にも、以下のような例があります:

  • 会員登録したが購入に至らなかったユーザーに対し、初回注文時に製品を無料で提供する機会の提供
  • 購入したが問題がある顧客には、ストアクレジットなどのお詫びの品を渡して再注文を促進
  • 購入がしばらく空いている顧客への、過去の購入行動に基づいたオファーメールの送信
  • 消費額が一定額を超えた顧客を対象に、新商品のデザインに対する投票やテストグループへの参加の呼びかけ

技術スタック全体と統合され、このような自動化を実現するのに強力なプラットフォームをお探しですか?Integrate.io と我々が提供するサービスについてご紹介します。

ロイヤリティ・プログラムの承認作業を効率化

ECブランドがロイヤリティプログラムを立ち上げることを決定した場合、ETLとリバースETLで承認プロセスは効率化され、それによってこのロイヤリティプログラムが、最も多く買い物をする顧客だけが利用できる確実に限定的なものになります。そうすることで、人が参加したいと思うようなプログラムを作り、「年間購入額500ドル以上」など、受け入れのための条件をアピールして、参加への後押しをすることができるのです。

ロイヤリティプログラムに申し込んでもらうのはフロントエンドとマーケティングのプロジェクトですが、バックエンドの承認プロセスとなると、それをサッと簡単にやり遂げるには、十分にセットアップされた技術スタックが必要です。申請書のデータ分析や、顧客である期間、過去1年間の購入額、さらには返品やクレームの要求数などに基づいた「承認」か「拒否」かの判断にSalesforceなどのツールを使うといいでしょう。

購入頻度が高く、製品に満足している顧客のみを承認することで、サポート依頼の優先順位付けや、製品テスト、ブランドイベント、シークレットセールへの限定招待など、ロイヤリティプログラムのステータスを利用することができます。その結果、ブランドはユニークで個別化された顧客体験を実現し、他では得られないブランドのつながりを求めて顧客をリピーターにすることができるのです。

以下のように、ETLはロイヤリティプログラムの成功をサポートできます:

  • 瞬時に自動承認されるように、ロイヤリティプログラムに参加してもらいたい価値の高い顧客リストの作成や招待状の送付、ツールの設定をする
  • 年間利用額や購入総額などの承認基準を満たした顧客への招待状の送付
  • ロイヤリティプログラムの会員の購入がしばらく空いたときの、キャンペーンや特典を利用した購入の促進
  • 会員資格の有効期限が近づいた際の、その資格を維持するために必要なことを知らせるリマインダーの送信

法規制の遵守を実現

多くの企業にとって、顧客とのやり取りや購買行動から生成される膨大なデータを活用することはワクワクすることですが、これがすべての規制の影響を考慮する段階になると、すぐに圧倒されてしまうかもしれません。GDPR (EU一般データ保護規則)や CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法) など、データ収集、顧客への通知、情報の管理方法についての規制があるため、ETL とリバース ETL はコンプライアンスを確保する上でとても重要となります。

リバース ETL がコンプライアンスを実現する上で有効な例の 1 つが、「顧客は自身について収集されたデータを確認し、いつでも削除を要求できる」という要件を満たすようにすることです。前者は、名前、メールアドレス、住所、クレジットカード情報など、保持しているデータの行を作成するだけで、簡単にできるかもしれませんが、要求に応じた実際の削除は難しくなります。

多くの場合、中央のデータ ウェアハウスからデータを削除するのは簡単ですが、データがウェアハウスになくなったという理由だけで自動的に削除されない、データウェアハウスから供給されるすべてのダウンストリームアプリについてはどうなるのでしょうか?そこでリバースETLの出番です。リバースETLは、そのようなアプリケーションをすべてチェックし、対応するデータを削除することができるため、チームが顧客情報を探し出すのに時間を費やすことがなくなります。

顧客から依頼されたデータを迅速に削除できるほか、以下のようなこともできます:

  • 定期的にすべてのシステムから古い顧客情報や不要な顧客情報を削除し、ダウンストリームのアプリケーションに情報が保存され続けることがないようにする。
  • ポップアップやメールを使って、顧客情報が最新であることを簡単に確認し、それに応じてシステムを更新する。
  • ユーザー ベースの透明性と信頼性を上げるために、収集して頻繁に保存しているデータの確認を顧客に依頼する。

ECブランドのサポートにIntegrate.ioができること

多くの顧客データが流れてくる中で、その生データをセールス、サポート、マーケティングチームが実際に利用できるメトリクスや情報に変換する方法の習得は、収益性を達成してブランドロイヤリティを育てるのに不可欠です。もちろん、非常に多くの複雑なデータの種類とソースがあるため、適切な分析ツールを見つけてそれをすべて繋げるには、多大な計画が必要です。適切なアプローチをとらないと、さまざまなソースからのデータがサイロ化し、確認、理解、日常的な利用が不可能になりかねませんからね。

ETLのソリューションにより、ECプラットフォームは、アップストリームとダウンストリームの両方に情報を供給する強力なデータパイプラインを使って従業員のワークフローを豊かにし、適切な技術スタックなしではできないようなビッグデータ分析を開始することができます。

ETL とリバースETL プロセスがECブランドに適用できる多くの方法を理解することで、最初の一歩を踏み出す刺激になりますが、ECビジネスとしてデータ統合を実現するには、実際に何が必要なのでしょうか?それにはまず、ディープなEC機能、光速のCDN(コンテンツデリバリネットワーク)、強力なETLおよびリバースETLツールを備えたデータ統合プラットフォームの選択からです。

Integrate.ioで、データ管理をサポートするだけでなく、内蔵されたコネクタと直感的なインターフェースにより、エンジニアリングチームに負担をかけずに大量のデータを簡単に処理できるようになります。Integrate.io の仕組みや、セットアップ開始のために必要なことについての詳細をご希望の方は、当社の担当チームにぜひお問合せください。デモを予約して、詳細をぜひご確認ください。