組織では、ビジネスを効率的に方向転換する能力が重要となる、常時稼働の文化におけるニーズを満たすのに ERP(企業資源計画)プログラムが使われます。
ERP の統合とそのビジネス上の可能性に関する重要なポイントは以下の5つが挙げられます:
- ERP の統合は、さまざまなソフトウェアプログラムをつなぎ、ビジネスの多くの部門を統合して、ビジネスのプロセスを統一する。その結果、組織はバラバラではなく、まとまりのある、相互接続された組織体となる。
- ERP システムの統合とは、ERP システムをソフトウェアプログラム、データストレージ、その他のプログラムやシステムと連携させ、部門や機能間で同期されたデータ交換をできるようにするプロセスだ。
- ERP 統合の一般的なタイプには、API、ミドルウェア、ファイルベース、Web フック、カスタムアダプタ、サードパーティアプリケーションなどがある。
- 日常業務から集められたデータを ERP ソリューションに提供することで、独自ツールの保持、レガシー(旧式)ソリューションのアップグレード、サプライチェーンの理解向上など、複数のメリットが得られる。
- 最も一般的な ERP 統合の課題は、本質的には技術的または組織的なものだ。
目次
ERP 統合について
会社全体で、最も価値のある競争相手との壮絶な綱引きバトルが繰り広げられているところを想像してみてください。いつものオフィスでの一日ですよね。
そうとは限りません。
この綱引きでは、敗者はビジネス破滅の落とし穴に落ちます。組織が生き残るには、全従業員、部門、および経営幹部が、呼吸をするたびに足をしっかりと地面に着け、拳をしっかりと握りしめ、筋肉を適切に使い、全員が姿勢を保ち息を合わせて引っ張る動作を調和させられるかにかかっており、ここでの「調和」こそが、ERP ソフトウェア統合の成功です。
ただ ERP 統合は、単にさまざまな CRM(顧客関係管理)プログラムを接続するだけではありません。部門全体を結合し、かつては単純で手動だったプロセスを自動化することでプロセスを効率化し、その結果、ばらばらの組織ではなく、まとまりのある相互接続された組織が生まれます。ERP 統合が成功すれば、ビジネスの真の大きな可能性が解き放たれるのです。
ERP 統合とは
ERP は、組織の人材、チーム、部門を統合するための全社的なソフトウェアソリューションであり、ERP の統合で、人事(HR)、経理、顧客対応、製造などの重要なプロセスの管理が効率化されます。
ERP システムの統合とは、ERP システムをソフトウェアプログラムやデータストレージ、その他のプログラムやシステムと連携させ、部門や機能間で同期されたデータの交換をできるようにするプロセスです。このように統合された状況では、リアルタイムで情報共有が行われるため、可視性が上がり、効率が改善され、意思決定がより情報に基づいて行われるようになります。
現代のビジネス環境における ERP 統合の重要性
ERP の統合でシステムの統一がもたらされ、組織の効率性、生産性、競争力が上がります。企業がさまざまなチーム、部門、プロセスを統合することで、自動化された効率的なワークフローが実現します。また、技術の進歩に伴い、現代ビジネスのスピードは常に速くなっていることから、ビジネスの可動部分間の摩擦が少ないほど、俊敏性が増し、必要に応じてピボットする能力が上がります。
ERP 統合のさまざまなタイプ
ERP 統合手法の一般的なタイプには、以下のようなものがあります:
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API(アプリケーションプログラミングインターフェース)の統合: Integrate.io には、データの送信、呼び出し、更新に必要な統合を構築できるように、複数の API が提供されている。API 統合は、ビジネスにリアルタイムでのデータ共有が必要な場合、または Integrate.io の事前構築済みコネクタでは独自のユースケースの要件が正確に満たされない場合に有効。
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ファイルベース:ファイルベースの ERP 統合は、システムまたはプログラムのデータを CSV、.xls、.xlt などのさまざまなファイル形式のいずれかでエクスポートし、それを ERP プログラムにインポートする。ファイルベースの統合は手作業で行われるため、ここで紹介した他の方法よりも時間がかかるが、他の方法を断続的に更新する場合には適している。
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Web フック:Web フックでアプリケーション間の自動通信ができるようになる。Web フック とは、特定のアクションが発生するたびに、あるアプリケーションから別のアプリケーションに送信されるメッセージのことであり、このメッセージは、受信側のアプリケーションの後続のアクションをトリガーする。リアルタイムアプリケーションでは、イベント駆動型の環境で即時の応答が必要な場合に、Web フックが特に有用。
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カスタムアダプタ: 一部の組織では、プログラムの言語間の翻訳手段がなければ、他のプログラムと通信できないネイティブシステムやレガシー(旧式)システムが採用されており、カスタマイズされたアダプタは、このような独自システムやレガシーシステムを翻訳してくれる。
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サードパーティアプリケーション: サードパーティアプリ統合ソリューション*は、Salesforce と Bill.com、QuickBooks と HubSpot など、2つのプログラム間のコミュニケーションを促進するという意味で、カスタムアダプタのようなものである。例えば、EC プラットフォームでは、在庫管理、顧客データの保存、注文の発送、ロイヤルティ会員への誕生日おめでとうメールの送信などに、複数のサードパーティアプリが使われる場合がある。
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ミドルウェア: ミドルウェアプラットフォームは、データソースと ERP システムをつなぐ仲介役として機能する。複雑なデータ統合と変換が必要な複数のデータソースを持つ組織に最適。一般的なミドルウェアプラットフォームには以下が挙げられる:
- Integrate.io
- MuleSoft
- Boomi
- Jitterbit
Integrate.io は、事前構築済みのコネクタと、ユーザーに優しい ETL(抽出、変換、格納)およびリバース ETL 機能が備わった、コード不要の環境ですべてのプログラムとシステムを接続するミドルウェアの一種です。
MuleSoft vs. Integrate.io
Dell Boomi vs. Integrate.io
Jitterbit vs. Integrate.io
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ERP 統合のメリット
日常業務から集まったデータを ERP ソリューションに提供することで、組織には次のような BI(ビジネスインテリジェンス)の利点が色々ともたらされます:
- 独自のソリューションの保持またはレガシーソリューションのアップグレード
- サプライ チェーンの理解の向上
- ビジネス プロセスの価値に関するより優れたインサイト
- データの整合性とセキュリティの向上
- データサイロの検出と削除
- データソースの集中化
- プロセスの自動化
- リアルタイム データのダッシュボードを使った分析のスピードアップ
- 分析機能の向上
- 組織の効率性の向上
- 運用コストの削減
ただし、このメリットは、適切な ERP 統合によってのみ実現されます。
ERP 統合の実装
統合には、尋ねる相手によってさまざまな定義がありますが、統合の実用的な説明は次のとおりです:
「さまざまなコーディング言語または形式がある 2つ以上のプログラムまたはアプリ間の通信を促す。」
iPaaS(サービスとしての統合プラットフォーム)はよく使われているアプローチであり、iPaaS プロバイダーには、迅速かつ簡単にアプリを同期できるクラウドベースの統合サービスがあります。また、iPaaS は、ビジネスにおける複数のアプリケーションを備えたノーコード環境であり、特に SaaS(サービスとしてのソフトウェア)ソリューションと ERP システムを接続します。
ERP 統合には以下のような評価と計画が必要です。
- 評価:自社の固有のビジネスニーズは何か? 統合の目標は何か?
- 計画:どの ERP システムを使う予定か? どのような統合ツールが必要か?
Integrate.io のような iPaaS サービスを使った ERP 統合の実装は、独自の統合ニーズに応じて以下のようになります。
- ERP および統合するその他のすべてのアプリ、プログラム、システムの API トークンを設定する。
- ERP とアプリ、プログラム、システム間で移動するデータのマッピング、転送、移行戦略に関するワークフロー インタラクション定義を作成する。
- パイプライン接続を設定する。
- データ マップと修飾子をセットアップする。
- 同期スケジュールと同期頻度をセットアップする。
- テストと検証のプロセスを行う。
そして 以下の ERP 統合のヒントとプラクティスを考慮し、統合の導入を確実に成功させましょう。
ERP 統合のベストプラクティス
よく言われるように、計画をきちんと立てても失敗することがあります。
ERP 統合および実装のベスト プラクティスには次のようなものがあります。
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データをクリーンアップする。データ形式の正規化、入力の検証、重複の削除、アクセス制御の再確認を行う。
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要件を確認する。確実で機能的な統合に必要なものを確認する。
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計画を立てる(これはいくら強調してもしすぎることはない)。必要なツール、取るべき手順、その順序、現場にいないといけないスタッフ、そしてチームが各工程をどのように実行するかについて、詳細なアウトラインを書き上げる。また、計画には依存関係のマッピング、データの暗号化、プライバシーとセキュリティ関連のコンプライアンス対策の検証の時間が含まれるべきであり、システムのアップグレードやメンテナンスなど、サインオフが必要な作業についても詳細に説明されるべき。
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セキュリティの評価。例えば、ERP システムのセキュリティは見落とされることがある。この機会にセキュリティプロトコルを見直し、PCI コンプライアンスを確保する。そして以下を見直す:
- Secure Sockets Layer (SSL) プロトコル
- HTTPS
- サービス拒否 (DoS) 保護
- 分散型サービス拒否 (DDoS) 保護
- ファイアウォール
あと、ERP 統合計画には、以下のような課題に遭遇した場合に備えて、ある程度のバッファ時間が含まれるべきです。
よくある ERP 統合の課題の克服
世界では毎日約3億2900万テラバイトのデータが生成されており、データに溺れているように感じる経営者がいるのもうなずけます。そしてデータサイズの問題をさらに複雑にしているのは、平均的なビジネスで今日使われている複数のツール、プログラム、システムです。
最も一般的な ERP 統合の課題として、以下の2点が挙げられます:
- 技術面:互換性、カスタマイズ、データ品質、移行問題など
- 組織面:変更管理、トレーニング、ユーザーサポートなど
ERP 企業で、これらのシステムは使いやすく、導入も簡単だと信じ込んでいるので、大抵の企業は ERP 統合のメリットに大きな期待を寄せていますが、期待した成果の半分でも得られる企業が 20% あればいい方です。
なので 以下のような ERP 統合の課題を理解してそれに備えることは、データの真の可能性を引き出す鍵となります:
- データのサイロ:企業の年数によっては、ツール、プロセス、プログラム、ビジネスアプリケーションが、独自のソフトウェア、レガシーシステム、または自社のためだけに書かれた特注アプリケーションである可能性がある。また、手作業によるデータ入力プロセスにはヒューマンエラーの余地があり、ERP 統合の際には、命名規則やコーディング言語が異なることで互換性が損なわれる可能性がある。
- 個人的思考: 部門によっては、自社のデータのさらなる監視に積極的でない場合があるため、ERP 統合の実装がビジネス全体にどのようなメリットをもたらすかを説明することが重要になる。ERP 統合によってビジネスパフォーマンスがどのように上がるかを説明することで、依然として変化に抵抗がある人を説得できるようになる。
- 業務への影響: ERP システムへの変更にはトレーニングが必要。もしスタッフが潜在的な価値を十分に理解していない場合、彼らが参加する可能性は低くなります。評価と計画の段階では、必ず意見を求めるべき。
何よりも、この変更はビジネスのためであり、特定の部門を非難するためのものではないことを、従業員に周知徹底させましょう。
ERP 統合のケーススタディと成功事例
ERP の統合は簡単な作業ではありませんが、統合が成功した場合のメリットは、導入時の課題をはるかに上回ります。そしてたまに、以下のような企業の場合では、統合が驚くほど簡単に思えることがあります。
LG エレクトロニクス株式会社
LG エレクトロニクスは、韓国に本社を置く多国籍家電・機器メーカーです。世界中に子会社が100以上あり、LGの名は広く知られています。
ご想像の通り、LG のような組織では、人事データの統合は簡単ではありませんでした。子会社が各々好きな人事プログラムを使うことができたことから、LG の人事情報はバラバラで、その非生産的な管理方法での LG の人事スタッフの効率はよくありませんでした。
LG は、バラバラな人事データがもたらす障害に気づき、管理手続きをシンプルにする必要がありました。管理手順の多くは、優秀な人材の採用と優秀な従業員の維持を妨げており、不適切な意思決定、リソースの不適切な使用、手動の手順によって、このグローバル企業は 2021 年にスマートフォンの製造の中止を余儀なくされました。
ERP の統合計画の一部には、導入にかかる大まかな期間がありますが、LG の場合は独特で、ERP 統合が成功するまで5年もかかりました!それでも LGエレクトロニクスは、あきらめずに取り組むことで、以下のような驚くべき変化を遂げたのです:
- 従業員評価および雇用慣行全体の透明性の向上
- HRM(中央人事管理)システムによるローカルでの更新の柔軟性の向上
- リアルタイムでの情報アクセスによる管理の改善
- 従業員の文書共有と学習成果の向上
- 時間とコストの削減
- 従業員の士気と満足度の向上
では、LG のような企業から何を学べるのでしょうか。
組織全体の統合を準備し、実施する場合:
- ビジネスの目的を知る。
- 必要なことと ERP システムの限界の違いを理解する。
- ビジネスとともに成長できる拡張性のある ERP プログラムを選択する。
- システムが意図したとおりに機能するか、継続的に抜き打ちチェックを行う。
- パルスチェック: 従業員は効果を実感しているか?プログラムは正しく使われているか?
- 導入および統合プロセスを通じての、ERP ベンダーおよび統合チームの密接に連携する。
ERP システムの統合は、「あれば便利」なものではなく、時間とコストの節約から、チームの士気の純粋な向上、顧客体験の向上まで、データ中心の世界におけるビジネス機能にとって必要不可欠なものなのです。
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Q&A
Q. ERP 統合を計画する最初のステップは?
A. ERP の統合を指揮する場合、最初の数ステップが一番重要です。まず、今あるもの、必要なもの、そして時間を評価します。次に、統合の計画と準備を始めます。そして、最適な ERP 統合パートナーを選択します。ERP ソリューションが、独自のビジネスに合わせて構成され、カスタマイズされていることを確認しましょう。それで、データ移行や統合から、統合のテストや従業員のトレーニングまで、すべてがうまくいくようになります。
Q. ERP の統合はデータ分析にどのような影響を与えますか?
A. ERP 統合の導入で、組織のデータ分析能力にプラスの影響がもたらされます。ばらばらで分断されたデータでは全体像はわかりませんが、ERP システムを統合することで、以下のことができるようになります:
- 現在のトレンドの分析
- 潜在的なベスト/ワーストシナリオの計画
- リソース配分の改善
- データによる裏付けでのより良い意思決定
今日の ERP プログラムの分析機能で、非効率なプロセスの発見、物事のやり方の最適化、将来の顧客行動の予測ができるようになります。
Q. ERP の統合はコンプライアンスや規制上の課題に有用ですか?
A. 規制コンプライアンスへの対応にお困りの場合、ERP ツールが役立ちます。ERP プログラムだけではコンプライアンス基準を満たすことはできませんが、ERP 統合によってデータを一元管理する企業は、次のようなメリットを享受できます:
- データとプロジェクト管理の強化
- より洞察力のあるビジネスレポート
- サプライチェーン管理の向上
- 監査準備の改善
ERP システムを利用すれば、コンプライアンス上の問題が発生する可能性のある分野を特定し、事前に対策を講じることができます。
Q. ERP 統合で避けるべき一般的な間違いとは?
A. ERP の実装または統合中に犯される最大の間違いは、事前の計画を立てないことです。その他の問題としては、データのサイロ化、意見の相違、ERP プログラムの適切な導入の失敗、新システムに対するトレーニングや納得感の欠如などが挙げられます。